エクステンドERP:米国企業に見られる最新事例
(背景)1990年前半、米国でおきたERP導入ラッシュは、その後「E-ビジネス」という新しいトレンドにおされ、現在米国企業の多くはERPより「E−ビジネス」に重点を置いたIT投資を行う傾向にある。「E-ビジネス」を推進するためのシステムはERPなどの基幹システムをバックボーンとして構築される場合が多い。顧客は新ERPシステムを利用する事を考え、ベンダーは売上げ増大のための付加価値を進めている。
今後企業アプリケーションをリードするものとして、ナリッジマネジメント、CRM,e-コマース等が考慮され、ERPベンダーもこれら分野を視野に入れ機能拡充を進めている。
例を云えば、PeopleSoftがCRMベンダーのVantiveを買収し、ECプラットフォームベンダーであるCommerce Oneに投資した。MySAP.comは本質的にはSAPのERPシステムをベースにしたナリッジマネジメント・ソリューションである。
(要旨)エクステンドERP:(拡張されたERP)の概念:
サプライチェーン・マネジメント(SCM)、顧客関係管理(CRM)、Eコマースといった様々な業務ソフトウェアを連携、全ての機能をERPの延長(ERPをバックボーン)として統合するものである。
この「エクステンドERP」という新しい概念のもと、それを推進している事例を分析する。
- 本レポートで取り上げた米国3事例
- シスコシステムズ・・Oracle ERPを中心に、Siebel(販売),Clarify(コールセンター)、PeopleSoft(人事)等を組み合わせたベストオブブリード(BOB)アプローチをコァに顧客(インターネット)、取引先(エクストラネット)、社内(イントラネット)での利用を実施
- コンパックコンピューター・・SAPをコァにSiebel(CRM)を加え顧客、再販業者、サプライヤーをIPベースでリンクしている。
- リズ・クレイボーン:DKNY・・Oracle ERPをコァにJDエドワーズ(財務)、Richter(販売管理)、Interpid(意思決定支援)、McHugh(倉庫管理)パッケージを連携させ社内外ネットワークを構築
併せ、導入に至る経緯、戦略、メリットとエクステンドERPの構造等も調査分析される。
- 米国にみるエクステンドERP導入のサクセスポイントとしての総括としては以下がキーポイントである。
- 明確なビジネス戦略・・・IT戦略と連携
- IPでインフラ基盤整備・・・ネトワークのオープンスタンダード化でシステム統合
- WEBアプリケーションで外部連携・・・市場への対応。外部展開
Eビジネス時代のERP戦略
(背景)E-ビジネスとエクステンドERP登場の背景。
いままでは社内でのみ使用していたERPデータを、取引先や顧客と共有する必要性がたかまってきた。ERPを導入して社内業務の効率化のみを行う時代は終わりを告げ、サプライヤー、顧客とのスムーズな情報交換体制が不可欠になった。インターネット技術を戦略的に活用することで、競争力の強化、収益増加を目指す「E-ビジネス」時代に突入した。
ここに、Eビジネスの推進と共にエクステンドERPが企業にとってもベンダーにとっても不可欠になっている。
(要旨)
Eビジネス時代のERP戦略をエクステンドERPのベースにて 1.ERPとの違い 2.ユーザー企業の戦略 3.構築アプローチ 4.ERPとSCM/CRMとの統合 5.各ERPベンダーの動向等から、多面的に調査分析する。
一部紹介すると;
エクステンドERPの特徴
ERPとエクステンドERPの違い
| |
ERP |
XRP |
| 役割 |
社内のみ |
取引先、顧客を含めたバリューチェーン全体 |
| 対象業務 |
製造、流通 |
全業務 |
| 機能 |
業種に関係なく共通 |
業種ごとにカスタマイズ |
| プロセス |
社内プロセスのみ |
企業間プロセス対応 |
| アーキテクチャ |
巨大、スタンドアローン |
容易なインテグレーション |
| データ |
社内の幹部のみアクセス可 |
取引先もアクセス可 |
エクステンドERP登場の背景もマクロな面でみると以下が挙げられる
- 合理化・効率化利用→戦略利用へ(e-ビジネスによる競争の激化)
- スタンドアローン型(社内)利用→コラボレーション(取引先・顧客とデータ共有)
・情報のクローズ性→Open性(ネットワーク技術の進歩)
- ERP売上の鈍化(大企業で一巡・中小企業の資金不足)
- ERPと外部システムの統合を促す技術の発達(インターネット・WEBベースアクセス)
その他利用方法の拡大、エクステンドERPの傾向として
- データの技術的な制限利用・・経営層から全社員・外部ユーザへの拡大
- ERPの売上低迷による新たな収益源の確保(ERPベンダー)
- システム間の統合技術の発展
等があげられる
ERP市場分析-ユーザ層拡大、ERP機能強化に貢献する中堅ベンダー
(背景) 米国ERP市場においては、ERPの利用は大企業だけでなく、中小企業*やニッチ産業においても幅広く浸透している。大手ベンダーは、SCM,CRM,E-コマースといったEビジネス機能など、ERPを強化する機能が数多く統合されるようになっている。特に最近ではEビジネス機能に限らず、さらに新たな機能をERPに追加していこうという動きもみえる。米国において、このようなERPユーザー層の拡大、ERPへの新機能追加といったトレンドに貢献しているのは、大型ベンダーだけではなく、中小企業やニッチ産業、ERP追加機能などに専門性をもつ、中堅ベンダーと呼ばれる企業群があげられる。
注)中小企業と報告されているが、準大手規模の企業である。
(要旨) 大手ベンダーが、大企業で一巡したERP単体利用からエクステンドERPに拡大させる商品展開を図っているのに対し、中堅ベンダーは、専門性の高いソリューションや機能をもったERPを提供したり、あるいはERPの補強機能を提供している。これら中堅ベンダーを報告する。
中堅ベンダーを構成するベンダーを(1)ミドマーケットベンダーと(2) ニッチベンダーと表現し、その特徴としては
- ミドマーケットベンダー:特に中小企業*や個別産業など、ミッドマーケット向けにERPを提供しているベンダーでありその特徴は
- 中小企業やニッチ産業に関して高い専門性をもっている
- 導入コストをかけることができない中小企業に導入が簡単なソルーションを提供
- 他の中堅ベンダーとの提携を通じ、機能強化した、総合的ERPソルーションを提供
換言すれば、
- プログラム言語がシンプルで、個別のモジュール毎に導入可能(カスタマイズが少ない)
- 当初は中小企業・特定の産業に注目したソフトウェアからERPへ発展したもの
例としてIFS:施設保守点検ソフトウエアからERPへ
- 積極提携での相互補完機・サポート・クロス販売等の推進
- ニッチベンダー:ERPを自ら開発するのではなく、ERP自体の提供はしていないが、従来のERPを補強するような、ERPとの互換性を持つソフトウェア・ミドルウェアを開発し提供するベンダーであり、通常のERPベンダーが持たないような追加機能を提供している。
例えば:
- SAP利用のモンサント社(プロセス産業:化学)では、アシペン社のユニークな製造プロセスソリューション(製造プロセスにおける情報を収集しERP/SCMに提供しSAPに統合させている。
- SAPのパートナーであるアバコ社は自動認識データ収集機能やワイヤレス機能を利用してERPにデータを入力させ、製造・配送・倉庫・販売の分野で活用可能にさせている(工場フロアからのk情報を再入力することなく、リアルタイムに提供)
米国フォーチュン1000社導入状況分析
米国におけるERPの導入状況を把握する。大規模企業(フォーチュン1000)を対象に、売上、業種、適用業務、パッケージ別などの観点から導入実態を検証し、日本におけるERP研究に役立てるために本調査を実施した。昨年に引き続き第二回目の継続調査となる。
=調査概要は下記である=
- 調査項目
1.大規模企業(米国フォーチュン1000社対象)におけるERP導入状況の定量分析
市場調査データと独自調査をもとに、大企業における導入比率を算出する。
―売上規模別
―業種別
―適用業務別(会計、生産、販売、物流、人事、経営管理、その他業務)
―パッケージ別<複数ベンダー、Best of Breedケースを含む>
- 調査方法
企業へのインタビュー、エキスパートへのヒアリング、セミナーなどでの情報収集などに加え、ウェブ・業界雑誌などの文献調査をもとにした調査。
- キーファインディング(フォーチュン1000分析)
- 2001年度調査では、フォーチュン1000にランクされている企業1000社のうち291社においてERPの使用が確認できた。分析はこの291社が本レポートの対象である。なお、2000年度の調査では、使用確認ができたのは249社であった。(普及率が25%→29%)になっている。参考までに情報センター(現在は情報サービスグループーが実施した日本のERP導入率は11.3%:2000年→14.8%:2001年であった:注)企業規模はトップ大企業だけではない:ERPフォーラムより本報告書は既に発行済みです)
- フォーチュン1000のランク別にERPを使用している企業を見ると、フォーチュン50で76%(昨年は70%:以下同)、フォーチュン100で74%(68%)と最大手企業では約4分の3の企業がERPを使用している。
- ERP使用企業をベンダー別に見ると、SAPの利用が149社(2000年:115社・・以下同)であり、それに続きPeopleSoftの83社(61社)、Oracleの82社(46社)、JDエドワーズの41社(38社)、BaaNの39社(48社)と続く。
- ERPユーザ企業の間でもっとも人気のあるモジュールはSCM:77ユーザ(73ユーザ:2000年)、この他、財務:65ユーザ(46)、CRM:59ユーザ(56)、人事、調達にも人気が集まっている。
- ERPユーザ企業を業種別に見ると、食品、化学薬品、自動車などがトップ業種となっている、しかし一方でガス・電気などの公共事業や、コンピュータ・書籍などの専門販売業、銀行、金融業などのサービス業が大刀している
- ERPベンダーの業種別導入状況を見ると、SAP、BaaN、JDエドワーズが製造業に強いのに対し、PeopleSoft、Oracleはサービス業でも、ユーザを多く獲得している。
フォーチュン1000ランク別に見たERP導入率
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=参考= (フォーチュン1000レポート内表サンプル) 新たに異なるベンダーを採用した企業一覧
| 企業名 |
業種 |
フォーチュン 1000 ランク |
従来利用しているベンダー |
従来利用しているモジュール |
新たに追加したベンダー |
新たなモジュール |
| Applied Materials |
Scientific, Photo, Control Equipment |
196 |
SAP, Oracle |
Manufacturing (O), Logistics (O), SCM |
PeopleSoft |
HR |
| Cisco Systems |
Network & Other Communication Equipment |
107 |
JD Edwards, SAP |
Sales |
Oracle |
Financial, Manufacturing, SCM, Management |
| Coca-Cola |
Beverages |
93 |
Baan |
Logistics |
SAP |
Financial, Management |
| Hewlett-Packard |
Computers & Office Equipment |
19 |
Baan, SAP |
CRM (S), SCM (S), Procurement (S) |
PeopleSoft |
Unknown |
| J.C. Penney |
General Merchandisers |
43 |
Oracle |
Logistics |
PeopleSoft |
HR |
| Kellogg's |
Network & Other Communication Equipment |
28 |
Baan, SAP, JD Edwards, Peoplesoft |
Procurement (S), SCM(S) |
Oracle |
Financial(O), Manufacturing(O) |
| Lucent Technologies |
Consumer Food Products |
269 |
Oracle |
Logistics |
SAP |
CRM (S), SCM (S) |
| Nextel Communications |
Telecommunications |
311 |
Oracle |
Unknown |
PeopleSoft |
CRM |
| Proctor & Gamble |
Soaps, Cosmetics |
31 |
SAP |
SCM |
Oracle |
CRM |
| Qualcomm |
Network & Other Communication Equipment |
500 |
PeopleSoft |
Manufacturing, Logistics, Finance |
Oracle |
Financial, SCM, Manufacturing, Procurement |
| Sears Roebuck |
General Merchandisers |
29 |
PeopleSoft |
Finance |
Oracle |
Procurement |
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