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この本は最近のベストセラーだが、内容は、副題「身近な疑問からはじめる会計学」となっているように、会計についてやさしく解説しようという意図で書かれている。
書名のつけ方が秀逸のため、つい手にした読者もいると思うが、狙いはまじめで、企業でももちろんだが、個人のレベルで日常的に起こる「お金」にまつわる話題を、「会計」という見方で上手に説明していて、「なるほど」と思わせる書き方だ。
表題の、「さおだけ屋」だが、答えはごく単純なことで、「なあんだ」という話だが(種明しは本を買って確かめて下さい)、それ以外にも、郊外の住宅地にある「高級フランス料理店」の場合とか、常に飲み会の割り勘の支払を引き受ける人(もちろん、その場で回収するが)の場合などが出てくる。それが、実は連結経営の話だったり、キャッシュフローの話だったりする。このあたりの持って行き方が巧みでつい引きこまれてしまう。
山のように商品が積まれた生鮮食料品店のケースで在庫管理と在庫の無駄についてかなりのページを割いて解説しており、SCM(サプライチェーンマネジメント)の目的はこういうことだったのかという意味で、目からうろこが落ちること請け合いだ。
おそらく会計的に正しいことは、実態としても正しいと考えられる(そうでないケースが起こって、企業が破綻する場合もあるが、これは「会計的に正しくない」ことをやっているからと考えれば分かりやすい)。従って、個人の立場でも、生活に役立つような身近な知識が含まれているので、この考え方を応用すれば、結構お金がたまるのかもしれない。その意味で「会計」は役に立つ学問なのだろう。
この本は、「会計が嫌い」「会計が苦手」「会計を学んでも意味がない」と思っている方のためにあると著者みずから言っている。「会計」はけっしてやさしいものではないが、「会計の本質的な考え方」はそれほどむずかしくない。
よく「私は数字に弱いから、会計は苦手」という人がいるが、「数字に対するセンス」さえあれば、会計はだれでも分かると著者は言う。著者は公認会計士(しかも、まだ20代と若い)だが、数学は全く苦手だったという。とはいえ、数字に対するセンスを磨くことは、それほどやさしくないだろう。日々の生活に転がっている「身近な疑問」から考えはじめることで、会計の重要なエッセンスを学び、少しでもそれに近づくことができれば本書の狙いは達成できる。
著者は「苦手意識をなくして、身近なものとして会計を使ってもらう」ことを最大の目的にしていると語る。身構えずに気楽に読めるので、おすすめしたい一冊だ。
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