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前回の書籍紹介(『畑村式「わかる」技術』)で「わかる」について取り上げたが、その際に「わかる」の先に「考える」があることを指摘した。今回は、これをうけて「考える」をテーマにした書籍を取り上げる。
人間は考えることによってあらゆることを創造してきた。また日々考えながら生きている。しかし、「考える」こと自体についてあまり考えていない。ここで改めて「考え方」を考えるのが本書の目的としている。
考え方には、結局いくつかの思考原則がある。これが「思考三原則」である。本書の第1部は、考え方の基本の説明である。ここでは共通した考え方があり、同じ考えるのであれば、論理的に考えるべきとして、その考え方を思考三原則として提起する。すなわち、「目的を考える」「分解して考える」「因果関係で考える」の3点だ。
第2部は、企画の考え方の説明である。考えがよくても実行されなければ意味がなく、企画力が問われる。その企画を考える際に必要な条件を検討する。特徴は、第1部の思考原則とリンクしていることだ。
第3部では、考え方の総括で、思考原則のまとめと、いくつかのトピックスを取り上げる。例えば、脳、日本語、歴史、情報、環境、創造性、コンピュータ、血液型などであるが、ここでは著者の薀蓄(うんちく)の深さがいかんなく発揮されて面白い。
本書の特徴は、「企画力」に焦点が当たっていることでわかるように、ビジネスにおける考え方にウェイトがかかっている。この点が、前号で取り上げた畑村氏の著書が、必ずしもビジネスではなく、個人の日常生活も含めた対象における「わかる技術」をテーマにしている点との違いである。
また、本書での考え方のベースは、システム企画研修(株)(同社は、フォーラムの会員企業)の方法論「Mind-SA」である。この手法は、システム開発の上流工程(企画、設計)
の定番的メソドロジーであるが、そのなかから、「5W2H」、「目的とねらい」、「丸い三角形」、「問題点連関図」といった手法が引用されている。
「目的」と「ねらい」は混同して使われることが多いが、Mind-SAでは、「目的」は、「何かをしようとする時に結果として得られること」(ただし、なんでもよいものでなく、価値のあるもの)、「ねらい」は「目的が実現した結果として得られること」と明確に定義されている。
これらの手法は、もともと企画や設計における思考プロセスを根底においた上で開発されており、「考え方」を説明するための格好の例として取り上げられたものと思う。
システム化に限らず、ビジネスのシーンで何かを立案する際に、目的が不明確なまま進めて失敗することがよくある。また、検討のプロセスで、「原因」と「結果」の取り違えもよく見られる。その意味で、「考える」基本原則として、「目的を考える」「因果関係で考える」を上げることは当然であろう。
最後に、「考える」ことと「創造性」の関係についてコメントされている。「創造的思考」は、「論理的思考」と比べた場合、最も異なるのは「飛躍」と言えると説く。ただし、飛躍していても最後は論理的に説明できることが必要で、それができなければ単なる「仮説」に留まるとする。
著者は、あとがきで「本書では、現実社会における実践的な考え方を取り上げた」というが、特に企業の実際のテーマで役に立つ内容になっており、参照に値するだろう。
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