(プロセス改善マネジメントの枠組み)

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業務改善技法(Techniques for Process Improvement)

 「もし金槌しか無ければ、そのあたりの物すべてが釘に見えるものである」という諺がある。大工職人に道具一式が欠かせないのと同じで、プロセス改善チームも技法とツールのレパートリーを揃える必要がある。道具があればこそ、プロセスであろうが家屋であろうが、立派なものを作ることができるのである。
 ここでいう技法とは、データや情報の収集、分析、表示のための方法または手順を意味しており、ツールという用語は、技法を実施するための自動的なシステムを示している。また、製品という用語は、特定のツールあるいは市販のツールを指している。例えば、ブレーンストーミングは技法の一種であり、 グループウエアはブレーンストーミング技法を自動的に実施するためのシステムである。ロータス・ノーツ(登録商標)は、商品としてのグループウエアシステムの一つである。ツール技法という用語は、一般的に混用されることが多い。しかしこの混用は、読者がこれら用語の背景を心得ているかぎり、さして重要なことではない。
 この章では、プロセス改善努力を支援するために使える25種以上の技法を簡単に説明する。技法を真に理解するためのただ一つの方法は、それを実際に使ってみることであるから、各技法の提示は簡単にしておくこととする。技法の使い方についてただ読むだけでは、自転車に乗るための説明を読んだだけの場合と同様、それ以上のことがらを学ぶことはできない。いずれにしても、実際に跨って乗らねばならないことになるのである。
 我々の目的は、技法そのもののために技法を使うことではない。技法を手にすることの目的は、プロセス改善チームが、主観的な感覚ではなく、客観的なデータに基づいて意思決定ができるようにするところにある。チームとしては、プロセス改善の推奨事項および設計を支援するための各種技法を使うことによって、改善に対する障害や妨害を克服することができるようになり、改善活動の推進についての経営幹部の承認が得られやすくなる。
 この章では、プロセス改善技法をすべて網羅するのではない。プロセス改善にさらに役立つことが証明された技法は、他にもあるので、それらについては、付録Bに挙げた参考資料を参照すること。

 以下の節では、指定した必要条件に適合する各種技法を一覧する。この場合、各技法は、第10.3章に詳述する順に列挙してある。 

 

10.1 技法の様式(Technique Modes)

 ここでは便宜上、各種の技法をグラフィック、統計、モデル、テキストの4つのカテゴリーに分類する。各カテゴリーは、フレームワーク方法論における異なった点での特定の目的について有用である。これらの技法に親しみ、その使い方の経験を積めば、いつ、どこで、なぜ1つのカテゴリーを他のものに優先して選択するかが理解しやすくなる。技法によっては、複数のカテゴリーに適合するものもある。

10.1.1 グラフィック技法

 グラフィック技法は、2つまたはそれ以上のエンティティ(構成要素)相互間の関係を表示する必要がある場合に最も役立つものである。これらの関係は、順序もしくは順列、優先順序、依存性、群、カテゴリーなどを示すものである。以下に、各種のグラフィック技法を列挙する。

  • 品質機能展開(QFD, Quality Function Deployment)
  • プロセス・フロー(process flow)およびプロセス展開(process deployment)
  • 親近性の図式化(affinity diagramming)
  • 関係の図式化(relationship diagramming)
  • パレート分析(Pareto analysis)
  • フォース・フィールド分析(force field analysis)
  • プログラム意思決定プロセス・チャート(PDPC, Program Decision Process Chart)
  • パート法(PERT, Program Evaluation and Review Technique)
  • ガント・チャート(Gantt chart)
  • チェックシート(checksheet)
  • 因果関係図(cause and effect chart)

 グラフィック技法は、プロセス改善チーム以外の関係者とのアイデアの交換に非常に役立つものである。データは、なるべくグラフィック形式で表示すべきである。

10.1.2 統計技法

 統計技法は、反復プロセスから得られるデータを集めて分析するために用いるものであり、有意の結果を得るに十分なデータ(十分なデータポイント)がある場合にのみ使用すべきである。大部分の統計技法の使用には、統計学、学習理論、確立論などの専門的な知識が必要である。統計技法には、下記のものがある。

  • ヒストグラム(柱状図、histogram)
  • シミュレーション(simulation)
  • 管理図(control chart)

10.1.3 モデル化技法

 モデルは、グラフィック情報を高精度で伝達するように特別に設計した構文によって高度に構造化されたグラフィック表示である。モデル化技法の多くは、モデルを作図し有意なデータを辞書やディレクトリ、リポジトリその他ソフトウエア・システムなどに転送することのできる自動化ツールで十分に支援できるほど精密なものである。モデル化技法は、データの収集、分析、表示に使用する。以下はモデル化技法である。

  • プロセス・フロー(process flow)およびプロセス展開(process deployment)
  • 活動のモデル化(activity modeling)
  • データのモデル化(data modeling)
  • シミュレーション(simulation)

10.1.4 テキスト基準技法

 テキスト基準技法では、叙述文、レポート、表、マトリクス、数値などの表示形式を取り扱う。これらは、他の技法から得た結果を補足するために使用する場合が多い。一般的に、テキスト基準技法によって記録したデータの構造化の程度が高いほど、データの有用性が高まり保守が容易となる。レポート形式で表示したデータでも、十分に調製した内容のレイアウトに適合させるべきであり、なるべくグラフ、チャート、モデル、表などを補足すべきである。以下は、テキスト基準技法の例である。

  • ブレーンストーミング(brainstorming)
  • ノミナル・グループ技法(NGT, Nominal Group Technique)
  • パフォーマンス・セル(performance cell)
  • 戦略的ベンチマーキング(strategic benchmarking)
  • 強み・弱み・脅威・機会分析(Strength, Weakness, Opportunity, Threat (SWOT) analysis)
  • 方針管理計画(Hoshin planning)
  • 活動基準原価計算(ABC, Activity-based Costing)
  • ベストプラクティス・ベンチマーキング(best practices benchmarking)
  • 経済分析(EA, Economic Analysis)
  • 調査/面接

 

10.2 技法の応用(Technique Application)

 各技法は、予定の目標を達成するために使うべきである。すなわち、特定の目的についての技法を選択し、その目的が果たすことである。そうでなければ、プロセス改善チームは、技法の使用そのものに溺れ、着手時よりも混乱してしまうこととなる。以下の各節では、各技法の用途を示唆する。

10.2.1 コンセンサスの醸成(Consensus Building)

 プロセス改善は通常、組織横断的チームの協力作業によって達成される。この方法論の各ステップの終わりには、得られた結果とその意義、そしてその結果のその後のステップでの応用について、チームとしてのコンセンサスが成立しているべきである。各技法の使用により、プロセス改善が主観的ではなく客観的な用語で表現されることになる。結果が客観的であればあるほど、感情的あるいは非合理的な要素が整理されるので、コンセンサスがさらに容易に得られるようになる。ここで、コンセンサスとは、理解、同意、調和、意見の一致を意味することとする。コンセンサスは、効果的な意思決定の基本である。
 プロセス改善の結果は、改善活動が続行できるようになる前に検討し同意する必要のある進捗報告の作成も可能とする。これは、改善チームが検討担当のチームおよび上級管理者とのコンセンサスを得なければならないことを意味している。各技法は、改善チームに日常関与していない人たちにも容易に理解できる用語でデータを表示することによって、このプロセスを支援することができる。この章で提示する技法のほとんどすべては、改善チーム内部、および外部関係部門の両方のコンセンサスを得るために使うことができる。
 コンセンサスを固めるための最初のステップは、事実、アイデア、意見、関心事、問題点、障害、および反対意見などすべてを公開して客観的に取り組むことである。下記の各技法は、このために特に効果的である。

  • ブレーンストーミング
  • ノミナル・グループ技法
  • SWOT分析
  • 方針管理計画
  • フォース・フィールド分析
  • PDPC
  • 調査/面接
  • 因果関係分析

 コンセンサス形成の第2ステップでは、一連のデータに同意するか、またはさらに調査すべき不同意事項を容易に指摘できるような形式でデータを表示もしくは提示することである。この直前の節に列挙した技法に加え、モデル化技法は、不同意事項の解決を助けるような方法でデータを表示するために使うことができる。

10.2.2 データの収集

 プロセス改善努力を支援するために収集したデータが有用であればあるほど、プロセス改善努力がさらに効果的となる。意義あるプロセス改善のため、データは、主題のプロセスについて関心あるすべての関係者(協力者)からは、特にその必要性、要求条件、要望など(現状基準データ)について収集し、またそのプロセスを運用する環境(組織および技術のインフラ)および改善の可能性についても収集しなければならない。
 プロセス改善チームが収集分析しようとするよりも多くのデータが手に入るのが常である。これは、データ収集プロセスを秩序立て、構造化しなければならないことを意味している。データの収集に先立ち、プロセス改善チームは、以下の諸点(だれが、なにを、いつ、どこで、なぜ、どのようにして、いくらほど)を明確にすることができなければならない。

  • 何のデータが必要か
  • なぜそれが必要か
  • いつそれが必要か(この方法論のどのステップか)
  • 不要なデータを選別するためにどのフィルタを使うのか
  • そのデータを入手したら何をするのか
  • このデータの最良の出所は何か
  • そのデータ源が最良であるのはなぜか
  • だれに話す必要があるのか
  • データ収集に時間をどれだけ用意するのか
  • そのデータを検討(調査)するためには何が必要か
  • そのデータを得るための最良の手段(技法)は何か
  • データ収集はだれが行うのか
  • 着手の前に何を知っておく必要があるのか

 データ収集活動の計画が最も重要である。その計画は、データ収集活動を始める前に文書化し、評価しておくべきである。例えば、良好なベンチマーキング活動は、 3〜4ヶ月と数千ドルの費用が必要である。プロセス改善チームは、この技法を使用するための時間と費用を投じる前に、目標を確認しておくべきである。以下の技法は、データ収集に最も役立つものである。

  • ブレーンストーミング
  • パフォーマンス・セル
  • 戦略的ベンチマーキング
  • 品質機能展開(QFD)
  • SWOT
  • ベストプラクティス・ベンチマーキング
  • 経済分析(EA)
  • 調査/面接
  • チェックシート
  • 管理図

10.2.3 データ分析

 生のデータが役立つことは希である。収集する価値のあるデータは、すべてそのデータを分析して意味(情報)を抽出する価値がある。効果的でないデータは、価値がないどころか、誤解を招き、破壊的でさえある。格言 − 「そこには、偽り、呪うべき偽りがあり、統計の示すところでは、我々がもし望めば、我々は予定した結論を支援するような方法でデータを分析することができる」。このような事態にならないよう、データ分析は、データを生成したデータ収集プロセスと同様に秩序立て構造化しなければならない。
 データ分析にあたり、当面の仕事に最も効果的な技法を選択し、その技法を的確に使用して、その結果自身が雄弁に物語るようにすることが重要である。結果の解釈に相違がある場合は、その分析をやり直すのではなく、その相違点を補足的な報告書で注記するのが好ましい。これにより、他の関係者が偏見なくその結果を検討することができる。

 下記の各技法は、データ分析に最も役立つものである。データ分析に使える技法は多数あるので、直面した課題に最も適したものを選択することが重要である。技法を使用した経験は、技法選択の技術として活かせる。列挙した技法のいくつかは、データ収集にも使用できる。言い換えれば、技法はデータの収集と処理の両方に使うものである。この場合、その技法を使っている担当者またはチームが技法の分析のフェーズで客観性を失っていた可能性もあるので、その計画が疑わしい。

  • ノミナル・グループ技術
  • 戦略的ベンチマーキング(分析、結論、推奨事項)
  • 品質機能展開(QFD)
  • 親近性の図
  • 関係の図
  • 活動のモデル化
  • データのモデル化
  • 活動基準原価計算
  • パレート分析
  • ヒストグラム
  • ベストプラクティス・ベンチマーキング
  • シミュレーション
  • フォース・フィールド分析
  • 経済分析(EA)
  • PDPC
  • PERT
  • 管理図
  • 因果関係分析

10.2.4 意思決定支援

 この章で取り扱う技法の大部分は、プロセス改善チームの使用のために設計されているが、そのいくつかは、検討チームおよび上級管理職が改善プロジェクトのいずれかのフェーズについての意思決定を支援するためのデータ提示に大いに役立つものである。意思決定支援データを生成するためにある技法を使用する際、データ自身が中立的で、平衡性に富み、事実に基づくものであることが重要である。処置の手順を推奨することは適切ではあるが、意思決定チームは、一連の処置についての推奨およびその他の選択肢の拒否に導くデータのすべてを入手する立場にいなければならない。
 意思決定支援データは、簡潔で要を得たものであるべきである。意思決定支援報告書は、意思決定機関に提出すべきデータよりもはるかに多くのデータを生成するのが普通である。このいわゆるバックアップは、推奨する一連の処置を正当化するために必要な場合に備えて整理し保存すべきである。しかし、それは要約の形式を除き、当初提出の一部とすべきではない。以下の技法は、意思決定支援資料の作成に効果的である。意思決定の鍵となる要因は、ここに掲げた各技法に注記した。

  • ノミナル・グループ技法(選択肢の格づけ/優先順位づけ)
  • パフォーマンス・セル(業績目標の承諾)
  • 方針管理計画(業績目的の承諾)
  • 将来状況の活動モデル化(提案された将来の状態について)
  • 将来状況のデータモデル化(提案された将来の状態について)
  • 活動記述原価計算(ABC)(単位コスト金額の承諾)
  • フォース・フィールド分析(進捗阻害要因の受容)
  • 経済分析(EA)(実施候補案)
  • PERT(日程計画とコストの承諾)
  • 因果関係分析(誘導要因(ドライバー)の受容)

10.2.5 プレゼンテーション

 各技法は、改善プロジェクトの進捗状況、成果、計画、提案、シナリオその他を提示する資料を作成するための効果的な手段である。以下は、プレゼンテーション資料の作成に頻繁に使われる技法である。プレゼンテーション資料は、技法の使用による副産物であって、その技法を使用する主要目的ではないのが普通である。

  • パフォーマンス・セル
  • 品質機能展開(QFD)(高レベルのマトリクスのみ)
  • 方針管理計画(目的の段階提示)
  • プロセス・フローおよびプロセス展開
  • 活動モデル(前後関係および木構造図のみ)
  • データモデル(エンティティまたは関係表示のみ)
  • パレート図
  • ヒストグラム
  • ガントチャート
  • チェックシート
  • 因果関係図(簡素化提示)

 

10.3 技法の解説(Technique Descriptions)

 この章の目的は、プロセス改善努力の支援に役立つことが証明されている技法のいくつかについて簡単に説明することである。そのため、プロセス改善チームのメンバーには、利用可能な技法の範囲を心得ていただくこととする。

 この章で示す各種の技法は、プロセス改善努力の観点から一般的な目的によって組み合わせてある。戦略的技法は、計画策定の支援をはじめ、成果の測定基準や目標の設定、業務予測、そして組織単位内部の概念的関係などに最も有用である。戦術的技法は、プロセス改善機会の発見あるいはその理解ならびにプロセス改善進行案およびその代替案の作成に使用されることが多い。運用技法は、プロセスの成果を観察し、継続的な改善活動を支援し、プロセス関連問題の解決に最も頻繁に用いられる。ただし、これは一つの指針として示したものであり、技法の使用についてなんらかの制約を示唆するものではない。以下に説明する各種の技法は、ここでいう 25ステップの方法論のいずれかにおいて適当な組合せによって使用してもよい。なお、各種の技法を戦略、戦術、運用に分類したのは、その説明の便宜とそれぞれに最も適した用途を示すために過ぎない。

10.3.1 戦略的技法

 プロセス改善プロジェクトにおける初期の各フェーズは、プロセス改善努力の準備に関するものである。プロセス改善チームがその目的と課題を理解する必要があるのは、計画策定のフェーズである。この節で説明する技法は、計画策定を支援し、問題および機会を発見して記述する面で最も有用であることが証明されている。

10.3.1.1 ブレーンストーミング

 ブレーンストーミングは、最も広く用いられているプロセス改善技法の一つであり、実際に、創造的な考え方を秩序立てたものである。ブレーンストーミングの背景となっている考え方は、連想の力を活用することである。ある特別な主題について一つのアイデアが与えられれば、頭の中にはそれに関連するアイデアがいくつか閃いてくるものである。7人から15人程度のグループがある場合、アイデアが提示されるたびに、それが刺激となってグループの各メンバーが関連するアイデアを発表する。ブレーンストーミングの司会者(ファシリテーター)は、ブレーンストーミング会議の構成を説明しメンバーの多くが参加するように努める。
 ブレーンストーミングは、白板あるいはウォールチャートを用意した会議室または教室でも進められるが、グループウエアを使うこともできる。グループウエアとは、特別なソフトウエアおよび映写機能を装備しネットワークに接続したパソコンのシステムを示す一般用語である。司会者が参加者にアイデアの発表を求めてそれを白板に書き出すのではなく、参加者が各自のアイデアをパソコンに直接に入力する。ソフトウエアシステムは、システムに入力されたアイデアのすべてを照合する機能もある。

 ブレーンストーミングの一般的なルールは次の通りである。

  • 参加者が発表したアイデアは、篩い分けたり批判したりしてはならない。役に立つものがあろうがなかろうが、これによってアイデアの自由な流れを進めることができる。
  • アイデアを生み出すフェーズでは、発表されたアイデアについて議論はしない。議論は、アイデアの流れを中断し、この技法の重要な利点の一つを無効にする。
  • アイデアは、発表されたとおりに記録する。これは、グループウエア機能を利用した場合には当然のことである。
  • アイデアが出尽くすまで会議を続行すること。短い休憩を入れることで、検討中の主題についてのさらに新しいアイデアが生まれることもある。

 ブレーンストーミングは、多くの利点の中でも、その進行が速いため、計画した一連の行動に対する妨害や障害を露呈させることがある。これは、他の方法では長らく埋もれたままになってしまうようなものである。

10.3.1.2 ノミナル・グループ技法(NGT).

 NGT は、構造化したグループ活動であり、これはある問題を解決するための計画の策定に関する一連の行動または活動を評価して格づけするために使うことができる。 NGT技法は、ブレーンストーミング会議の後で、そのグループが開発したアイデアを整理し、評価し、格づけするために使うことが多い。そのコンセプトは、ブレーンストーミングに似ており、グループの相乗作用が当面の問題に適用される。アイデアあるいは行動の選択にあたり、チームのメンバーすべてが平等に発言権が与えられるのがこの技法の力となる。

 NGT技法の一般的なルールは次の通りである。

  • 司会者は、グループが解決すべき問題あるいは意思決定事項の性質を述べる。
  • アイデアを生み出すかまたはブレーンストーミングから持ち越す。
  • メンバー総当たりの状況では、当面の問題に関するアイデアを各メンバーが順に発表する。司会者は、アイデアが出尽くすまでグループを促し続ける。
  • 次に、白板または画面に掲示されたアイデアについてグループで議論して明確化した後、整理して関係あるカテゴリーに分類する。
  • アイデアを評価して格付けするための基準をグループで開発する。
  • 各チームのメンバーは、次に、すべてのアイデアまたは行動のリストからのアイデアまたは行動を5つから8つ選択する。これらは、チームのメンバーの好みを表すものである。次に、チームのメンバーは、選択したアイデアまたは行動を1つから5つ(あるいは8つ)に絞って投票し、最高票数を得たものを最も好ましいものとして格づけする。
  • 司会者は、リスト上の各項目に与えられた票数を数え上げる。最高票数を得たものは、そのグループのコンセンサスを表す。その計画を検討して選択したアイデアまたは行動が本当にグループの求めるものであることを確認することが望ましいのが普通である。また、初回に最高票数を得た項目を絞ったリストについて、いま一度票決する必要がある場合もある。

10.3.1.3 パフォーマンス・セル技法

 パフォーマンス・セル技法(PCT)は、ビジネス計画、プロセスの明確化、プロセス改善の相互間を連結するために設計されたものである。企業組織の中でいったん確立したPCTは、ビジネス計画改善目標とともにプロセス改善実行チームの基準となる重要な業績データ(現状基準およびターゲット)を生成する。またこれは、プロセス改善収益率計算式(ROPI)を算出する基盤も確立するものである。ROPIは、プロセス改善の価値を潜在的あるいは実際のプロセス改善処置またはプロジェクトの結果として見積りまた測定するための技法である。
 PCTは、与えられたプロセスに関連する効率および効果についての成果指標を定量化し、成果差異分析を実施し、また改善プロジェクトの開始時にプロセス改善チームに対して永続的な改善目的と目標を与えるための技法を用意することによって、政府業績結果法に定められた目的および原則を支援するように設計されている。これにより、戦略計画の目的とプロセスの成果との明確な連携を確立し、維持するとともにそれを観察することができる。業績指標は、プロセス改善努力を通じて得られた利益を確認するために設定され、新しいプロセスの展開時期および運用開始時期も設定される。
 また、PCTは、サイクルタイム、プロセスコスト、および品質を含むすべてのプロセス目的について、プロセスの関与者すべてのニーズが考慮されるようにプロセス改善努力が最適化されていることを確認するために役立つものである。妥協が必要な場合、PCTは、意思決定の規範を開発するための客観的な手段を用意する。この技法の詳細については、フレームワーク方法論に関する一連の文書の一部であるパフォーマンス・セルの学習書を参照のこと。

10.3.1.4 戦略的ベンチマーキング

 戦略的ベンチマーキング(strategic benchmarking)は、優先順位、目標、ゴールを確立するためにベスト・イン・クラスであると認められた企業組織のビジネス慣習、運用方法、機能組織を評価するための連続的、体系的、かつ分析的なプロセスである。ベンチマーキングは、戦略計画および事業計画の策定のフェーズにおいて、長期計画および短期計画ならびにゴールおよび目的を策定するための支援機能として用いられる場合が最も多い。ベンチマーキング・チームは、自社と共通する数項目の特質を示す企業を5社から12社検討するのが普通である。ベンチマーキング・チームが検討する項目は、次の通りである。

  • 完成商品、製品、およびサービスの特徴
  • 製品の生産方法およびサービスの提供方法ならびにその支援方法
  • 事務管理、人事管理、および財務管理などの支援機能
  • コスト、サイクルタイム、品質などの測定基準
  • 戦略、計画、ゴール、および目的

 最も推奨すべきベンチマーキングは、この技法のコンセンサスを公式化したことで知られるゼロックス社が開発したものである。

 ベンチマーキングの通常のステップは次の通りである。

  • ベンチマーキングを実施すべき対象を決定し、その調査目的を明確にする。
  • ベンチマーキング・チームを組織して研修を実施する。
  • ベンチマーキングの提携企業を定め、その調査の基本事項を設定する。
  • ベンチマーキングの提携企業から収集したすべてのデータを分析する。
  • ベンチマーキング報告書を作成し、結論および推奨事項を付記する。

10.3.1.5 品質機能展開

 品質機能展開(QFD)は、製品およびサービスに対する顧客の要求条件を明確にして理解し、次にそれらの要求条件を望みの製品およびサービスを開発して提供するための仕様に変換するための体系的な手法である。この技法は、主題の製品およびサービスの種類に適合した連動マトリクス・システムに基づくものであり、必要に応じてカストマイズすることも可能である。設計チームの希望する精緻さによって、1個から44個までのマトリクスが開発される。
 通常、マーケティング、サービス、エンジニアリング、調達、生産の各部門の担当者および顧客が協力して、そのマトリクスを開発して仕上げる。QFDは、以下の疑問に答えるものである。

  • 当社の製品やサービスに顧客が真に求め、また望んでいるものは何か
  • 顧客の要求および希望の優先順位はどうか
  • 競合会社あるいは他の供給元は、このような要求条件にどのように応えているのか
  • 製品およびサービスのどのような特質が顧客の要求条件に応えるのであろうか
  • 製品のなんらかの設計機能が他の機能と相克しているか、あるいはそれを補強しているか
  • 製品およびサービスの機能を付与するために必要なプロセスは何か

 最初のQFDマトリクスは、その第一の機能が顧客の真のニーズを決定するものであるため、しばしば「質の住処」または「顧客の声」と呼ばれる。場合によっては、特にサービスの場合、これは改善チームが必要とする唯一のマトリクスである。このマトリクスは、顧客の要求事項を製品の機能に写し換える(マッピングする)ものである。第二のマトリクスは、製品の機能を、必要な製品の構成要素に写し換える。第三のマトリクスは、製品の構成要素をその製造に必要なプロセスに写し換える。第四のマトリクスは、各種のプロセスを最終製品およびサービスに写し換える。従って、最終製品から顧客の要求へ逆に展開する連鎖反応が生まれる。その他のマトリクスは、高度に専門化した分析のためのものであり、高度にエンジニアリングされた製品のみに適用されるのが普通である。
 QFDは、顧客のニーズ、要求、希望、要求条件および期待を満たすために何をなさねばならないかについて企業組織が理解した直接の結果として、そのすべての活動が行われることを確認するために役立つものである。反面、QFDは、企業が顧客の要求条件を満すために直接には寄与しない活動をすべて見出して廃止する作業を支援する。 QFDの詳細情報については、本書の付録Bに掲げた参考文献を調査するかまたは、Harvard Business Review, May-June 1988, pp.63-73に記載されているJohn R. Houser およびDon Clausing著"House of Quality"(「質の住処」)を参照のこと。

10.3.1.6 強み・弱み・脅威・機会分析

 強み・弱み・脅威・機会(Strength, Weakness, Opportunity, Threat - SWOT)分析は、企業組織ならびにその製品およびサービス、ならびにそのプロセスを、その企業の内部的および外部的環境の面から理解するための体系的な技法である。
 SWOT分析は、創造性とアイデアの創出を刺激するための25ステップの方法論においてさまざまな状況のもとで効果的に使えるものであるが、通常は戦略的計画プロセスの一部として実施される。この技法は、その過程を通じて中立的な立場で機能するファシリテーター(司会者)の支援を得て組織機能横断的なチームによって実施するものである。このチームは、議論の主題に関連する組織上の強みおよび弱みのすべてを網羅したリストの作成を試みる。例えば、その主題が改善研究におけるプロセスであった場合、このチームは、ベンチマーキング調査の段階で決定する顧客サービスの要求条件、競合する供給源、あるいはベスト・イン・クラスに関するプロセスの強みおよび弱みのすべてを列挙する。次にこのチームは、事業計画の過程で定義したか、またはパフォーマンス・セルに記述した通りのプロセスの達成に対するすべての脅威の発見に努める。最後にこのチームは、脅威を克服し、プロセスの強みを最大化し、プロセスの弱みを最小化することによって成就できる卓抜性のすべての機会を見出すべく努めることとなる。

10.3.1.7 方針管理計画

 方針管理計画(Hoshin planning)、すなわち正確には方針管理および日常管理は、1960年代に日本のブリジストン・タイヤ社が独自に開発した技法である。以来、事実上日本の大手企業すべて、および米国企業の多くがこれらの技法を採用して好成績を収めている。方針管理(objectivesの管理の意)は、「目標による管理」(management by objectives, MBO)のさらに効果的な形態であり、実際に軍事計画法に基づくものである。我々は、方針管理を修正した形の技法を年間計画の改善の部分に推奨する(第4章参照)。
 日常管理(daily managementの意)は、重要な成功要因または枢要な指標による管理の一形態である。我々は、日常管理を修正した形の技法を、年間計画の運用の部門に推奨する。

 以下に精密な定義を与えた用語は、方針管理に用いられている。

  • 目標(objective) − 目標は、1件または複数の事業もしくは機能プロセスの順調な成果によって成就することのできる期待された最終的な結果または状態を、測定可能な形で表現したものである。
  • ゴール(goal) − ゴール(またはターゲット(target))は、目標の達成を測定するための規準である。すべての目標には、定量可能なゴールまたはターゲットがなければならない。
  • 戦略(strategy) − 戦略は、関係する目標を達成し、望むゴールを実現するための方法または手順である。
  • 作業評価基準(遂行能力評価測定規準)(performance measure) − 作業評価基準は、戦略に組み込んだ指標であり、関係する戦略の充足に向けた進捗の程度を測定するために用いる。
  • 重要成功要因(CSF) − CSFは、正確かつ完全に実施しなければならないビジネス機能またはビジネス活動である。
  • 枢要指標(key indicator) − 枢要指標は、プロセスまたは活動がいかに円滑に実施されているかについてのデータを生成するビジネス・プロセスまたはビジネス活動を観察することによって容易に得られる測定基準である。
  • 分散(variance)または限界(limit) − 枢要指標が変動するもなおかつ許容範囲内にある場合の限度

 方針管理計画では、戦略目的と特定の行動計画との直接の連携を可能とする一連の段階的な連動目的がある。このコンセプトは、最下位の目標が達成された場合、より高いレベルの目標が自動的に達成され、以上のレベルについて目標の連鎖とともに同様となることを示している。この技法のさらに詳細な情報については、フレームワーク方法論に関する一連の文書の一部である「計画の学習書」を参照のこと。

10.3.1.8 プロセス・フロー/展開

 プロセス・フローチャートは、プロセスにおける主要な活動、入力および出力、ならびに意思決定点の高レベルの表現形式であり、改善プロジェクトの初期段階において組織機能横断作業チームによって作成される。一般に、改善プロジェクトの期間中掲示されるウォールチャート上に表示したものである。ウォールチャートは、活動モデル化会議を進める際に効果的に用いられる。ウォールチャートは、プロセスの全体図を示し、敏速に作成し、高度の視認性があり、(IDEFなどのさらに大がかりな技法とは異なり)その作成方法が現業員にも恐れをなさせないものであるところに、その価値がある。プロセス・フロー線図は、計画会議、ブレーンストーミング、あるいは品質機能展開(QFD)技法の使用後のいずれかによって顧客の要求条件が明らかになった時点で作成するのが普通である。

 プロセス・フロー線図は、プロセスへの入力に始まり、望みの出力で終わる。入力と出力との間のプロセス・フロー線図の各要素を作成する際に、以下の3つの質問が行われる。

  • その活動は何か(その入力について何がなされるか)
  • それは、顧客の要求条件の何を満たすものか(なぜそれを行うのか)
  • その活動の間に何を決定するのか

 プロセス展開図は、プロセス・フロー線図と同様であるが、その中でプロセスの各活動がその活動に責任のある組織単位に写し換えられる点だけが異なっている。言い換えれば、この展開図は、プロセス・フロー線図に「責任」を付与したものである。これは、プロセス改善プロジェクトの範囲を設定し、そのプロジェクトに関与する組織機能横断チームの構成を決定する最初のステップに最も有用なものである。通常、この写し換えは、ウォールチャートの上部に組織単位を列挙し、その単位の下部に適切な活動を添え書きして行う。
 プロセス・フロー線図およびプロセス展開線図は、いずれもプロセスの外部の関与者との作業を検証するために相当に役立つものである。これは、ウォールチャートが、 IDEF(アイデフ統合定義言語)のように複雑なモデル化法になじみのない外部の関与者にも容易に理解できることによる。関与者による検証は、関与者の関心によりよく応えるため、プロセス改善チームがなぜプロセスを改善し続けているかを看過しないよう、プロセス改善を続行する際に極めて重要な要素となる。

10.3.1.9 KJ法

 KJ法(親近性作図法(affinity diagramming)、その開発者である川喜多二郎氏に因んでKJ法(商標)としても知られる)は、ブレーンストーミング会議によって得られた大量のデータを整理して統合化する技法である。これは、調査中の問題が多数あり錯綜していて、その問題にいかに取り組むかについての考えが混乱している場合に用いられる。この技法の使用にあたり、個々のアイデアあるいは項目は、それぞれのアイデアや項目を最も良く要約または統合化する共通の表題の下にまとめられる。この方法では、多数の項目を、少数の関連グループに整理することができる。それらのグループは、次に、問題を解決するための行動計画あるいは手法の基盤となる。
 この技法は、ファシリテーターの指導の下に、改善チームによって実施され、最初は個人的に異なった時期に作業が行われ、次に小グループで、そして全員で行われる。このプロセスは、ウォールチャート(または白板)および付箋のようなカード(あるいは黄色い粘着カード、通称ポストイット(商品名))を使えば、最も円滑に進めることができる。このプロセスは創造的であるが、秩序立っており、しかも非常に効果的である。以下のステップによって実施される。

  • 問題あるいは主題を設定する。
  • ブレーンストーミングによってアイデアを出しあい、それをカードあるいは粘着カードに1つずつ記入する。
  • そのカードをグループまたは小グループに分配する。
  • カテゴリーまたは共通の特徴についてカードをグループ化する。
  • グループ化について議論する。
  • 各グループに表題をつけ、必要に応じてそれを修正する。
  • ウォールチャート上に、グループ化の順序を示し、各グループを構成する項目を列挙する。

10.3.1.10 関係線図

 関係線図(relationship diagram)は、所与の問題またはプロセスに関する因果関係を簡単に表示するものである。関係線図では、ウォールチャート上の円または矩形の中にプロセスまたは問題の各要素を書き込む。円自体は、通常、1つの大きな円の中に配列する。時計の1時の位置から始め、その位置の項目について「この項目に関連する項目は、ほかに何があるか、そして、それはどのような性質の関係か」という質問が発せられる。
 その関係は、2つの項目の間に1本の線を引くことによって表現される。もし、1時の位置にあるその項目が、その他の項目(例えば2時の位置にある項目)のドライバー(誘導要因)、原因、影響因子、あるいは優先項目であれば、その2時の項目の上に矢印の鏃を付ける。もしその関係が逆であれば、鏃(矢の頭、矢先)を 1時の位置に置く。下記の例では、なんらかの建設用材料の準備が、その建築材料の使用に優先している。解決中の問題が、鳥小屋の品質に関係する場合、その線図は、まずその材料の品質を検査すべきであることを示唆する。

Figure 10-1
図表10-1.関係線図

 ウォールチャート上の各項目は、すべての矢がその鏃を正しい位置に向けて書き込まれるまで、同じ要領でチェックされる。各項目を指した矢の数は、ゼロの場合もあれば、多数ある場合もある。また、矢を発射している項目の数も、ゼロの場合もあれば、多数の場合もある。矢のない項目は、その後考慮の対象外となる。発射される矢が大部分の項目は、その図にある他のすべての項目からの独立性が最も高い項目である。それは、他の各項目の根本原因であることを表している。打ち込まれる矢が大部分の項目もまた独立性が最も高いものである。それは、その問題またはプロセスの根本的な効果を表している。
 通常、すべての改善努力は、問題またはプロセスの成果に無関係の事項の根本原因に傾注すべきである。根本効果である項目は、その根本原因を修正した場合、その根本効果が消滅するかまたは問題とならないことから、妥当性検証因子として機能し得るものである。根本原因の確認のほかに、この技法は、大部分の矢が発射されている項目(問題または活動)に基づく活動を優先するために用いることができる。

10.3.2 戦術的技法

 このカテゴリーの技法は、プロセス分析に最も頻繁に使用される。戦略的技法が問題や機会の発見または定義に注力するものである一方、この戦術的技法は、問題解決の機会の探索に焦点を絞るものである。

10.3.2.1 活動モデル化

 モデルとは、システムの要素、対象領域、あるいはプロセスの集合である。モデルは、システムまたはプロセスの理解、分析、改善、あるいは交換のために作成され、システムまたはプロセスが何をし、何によって管理され、何について作用し、その機能もしくは活動を実行するためにどのような手段を使用し、そして何を作りだすかを記述するものである。
 活動モデルは、詳細に記述した機能もしくは活動およびそれらのインタフェースの漸増するレベルを、漸進的に表示する一連の階層的線図によって構成される。論理的で、購入可能であって、統合化可能な、しかも実現可能なプロセス改善の意思決定を行うために理解すべき機能または活動の青写真を提供するのがモデルである。

 活動モデル化は、以下の目的に使用される。

  • プロセスのすべてのレベルでの分析および設計を実行する
  • プロセス改善およびプロセス統合化の基盤となる参考文書を作成する
  • アナリスト、設計者、ユーザー、管理者の相互間の意志疎通を図る
  • 組織機能横断チーム全体のコンセンサスを推進する
  • 進捗度の定量的測定基準を活用して大規模かつ複雑なプロジェクトを管理する
  • 企業分析、情報処理、資源管理のための基準アーキテクチャを提供する

  以下の基本コンセプトが活動モデルによって表現される。

  • 諸活動および各活動間の相互作用の図示
  • 簡潔性
  • 意志疎通
  • 厳密性および精密性
  • 段階的手順
  • 組織対機能の視点

10.3.2.2 データのモデル化

 データのモデル化は、ある環境、システム、あるいはプロセスの内部における情報の構造および意味体系を表すグラフィック情報モデルを作成するために用いる。標準的なモデル化技法の使用により、資源としてのデータの管理、情報システムの統合化、およびコンピュータデータベースの構築を支援に役立つ意味体系のデータモデルを作成することができる。モデル化技法の目的は、資源としてのデータを管理するため、標準的かつ一貫した予測可能な方法によって、モデルを作成することである。モデル化の標準は、下記事項を実現する。

  • 企業のデータ資源の理解と分析の手段
  • データの複雑性を表現し伝達するための共通の手段
  • 企業経営に必要なデータの総合的表示の方法
  • ユーザーによる妥当性検証が可能であって物理的データベースの設計に変換することのできるデータのアプリケーションプログラム依存性を定義する手段
  • 既存のデータ資源から統合化データ定義を誘導する方法

 データモデルは、プロセスに関連する人、場所、物、コンセプト、アイデア、イベントなどを表す各エンティティによって構成される。これらのエンティティは、それぞれの属性(データ項目)、キー(データ識別子)、および他のエンティティとの関係によってグラフィックに表示される。
 組織機能横断プロセス改善チームによって実施されるデータモデル化は、エンティティ、一次キー、主要属性、および改善中のプロセスに関連するビジネスルールに限定されるのが普通である。次に、データモデルはデータ管理および技術支援部門に移管され、そこでデータベース開発および情報システム統合化の推進に活用できるよう、全面的に開発される。この方法により、データモデル化は、データベース開発に関する現業部門と技術部門との意志疎通を図るための共通手段としての役割を果たすことになる。

10.3.2.3 活動基準原価計算(ABC)

 ABC(活動記述原価計算)は、製品を生産し、サービスを提供するために必要なコストの要素を決定するために使用する技法である。これらのコスト要素を明確にすることによって、あるプロセスからの主要な産物の各々についての単価を決定することが可能となる。ABC分析の一部として、産物である製品またはサービスについて付加価値を生み出すか否かという観点から諸活動が評価される。この情報が既知である場合、プロセス改善努力は、プロセスからの非付加価値コストおよび活動を削減あるいは撤廃する方向に向けることができる。
 ABC分析には、活動のコストを、プロセス中でそのコストが発生する点まで追跡するコンセプトも含まれている。これは、コストが検出されるプロセス中の問題点よりもむしろ、コスト増加要因(cost driver)(すなわち、そのコストの根本原因)に改善チームが注力することを可能とする機能である。例えばあるプロセスで、製品Xの保守コストが高すぎると考えられる場合、その保守問題の原因は、その製品を製造するためのプロセスの初期の段階で調達して材料が不良(低品質)であった可能性がある。保守コストを削減する方法は、製品Xの保守活動を改善することではなく、むしろ製品Xを作るための材料の品質を改善することである。それによって、その製品の保守コストを低減することができる。
 ABC分析は、検討中のプロセスの活動モデルを最初に作成することによって促進される。完全に分解した活動モデルにより、財務データを検討し、単価を策定し、非付加価値活動を特定し、コスト増加要因を発見することが比較的に容易となる。ABC分析は、製造プロセスの場合に効果的であるが、サービス関係のプロセスにも同様に有用であることが認められている。

10.3.2.4 パレート分析

 パレート図は、問題あるいは解決案の要素をその発生順または重要性の順にグラフィックに表示する簡単な棒グラフである。パレート分析では、改善チームが問題あるいは機会を取り扱う場合に、「多数の些細な点ではなく少数の重要な対象」に集中することができる。この技法は、80対20の原理の実際的な応用例である。これは、輻輳した偶発的な要素を含む状況において、問題または状況の80%が構成要素の20%の中に具象化されているということを示した法則である。
 パレート分析は、時間、所在位置、構成要素、人、形式などのカテゴリーにデータを配列し、一定の時間内に各カテゴリー中の発生数の順位をグラフィックに表示する。パレート分析を実施する前に、主題の状況に関連するデータを収集しなければならない。後述のチェックシートは、パレート分析用のデータを収集するための最も一般的な技法である。

 プロセスの問題を表している次のパレート図では、カテゴリー1と2が問題発生の大部分の原因であり、プロセス改善チームが努力すべき対象となっている。この例では、発生した問題の総数260件のうち、カテゴリー1と2が170件(約70%)を占めている。


図表10-2.パレート図

 プロセス改善チームは、パレート分析がそれほど単純であるので、あまり使いたくないのかも知れない。しかし、パレート図には用途が多種あって、経営者に対するプレゼンテーションに効果的であるのも1つの例である。実際に、解決すべき少数の些細な問題をパレート分析によって示したのち、後述の因果関係分析によって根本原因を見出すことができる。

10.3.2.5 ヒストグラム

 ヒストグラム(柱状図)は、他の1つの形式による棒グラフであり、数種のデータの出現度数を表す。通常、これは統計的性質の分析に使用するものであり、中心傾向(平均値、メジアン、モード)、出現度数の幅および範囲(表示偏差)および形状を表すことができる。従ってヒストグラムは、システムの改善に使用できるシステムの運用について多くの事柄を示すものである。通常この技法は、プロセスまたはシステムの状態および状況についての現状基準の決定ならびに、改善処置の結果の妥当性確認および検証に使用される。
 例えば、あるプロセスが、100件について3件の不良品レベルで稼働していて、そのゴールが1000件あたり3件である場合、改善プロジェクトの前後に収集されたデータをヒストグラム分析することによって、改善目標が達成されたか否かを確認することができる。

10.3.2.6 ベストプラクティス・ベンチマーキング

 ベストプラクティスは、数種あるベンチマーキングの1つである。その意図は、他のすべてのベンチマーキングと同様、他社に学んだ結果を自社の改善に応用するところにある。ベンチマーキングを進めるには、以下の6つの基本ステップがある。

  • 計画 − 重要な成功要因を理解して測定する
  • 探索 − プロセスの比較のために適当な企業組織を探索する
  • 観察 − プロセスのパフォーマンスを観察してパフォーマンス・ギャップを分析する
  • 分析 − パフォーマンス・ギャップの根本原因を確定する
  • 適用 − ベストプラクティスを選択して自社の環境に合わせて修正する
  • 改善 − ビジネスプロセス改善事項を改善して統合化する

10.3.2.7 シミュレーション

 シミュレーションは、モデルを使用して実験を行うことである。モデルは、日時の経過とともに変化するが、それによって表すシステムの理解を助けるものである。シミュレーションによる実験は、未知の対象を発見し、あるいは問題に対する理論的解決策を試験することによって問題を解決することを目的としている。実験の結果は、慎重な意思決定を行うために使用する。
 シミュレーションは、問題の特性分析を行い、解決の候補案を評価するための手段を提供するツールである。すべての問題にはそれぞれに適用可能な解決策が多数存在するのが普通であるので、解決の候補案を見出すには、その問題の構成要素についての徹底的な理解が必要となる。この理解は、その問題に付随するデータを収集して分析することによって得ることができる。解決の候補案は、このデータに基づいて設計し、シミュレーション環境の下で試験する。

 シミュレーションは、以下の事柄を可能とする。

  • 新しいアイデアのための創造性と熱意を高揚する
  • 各種の処置の結果を予測する
  • あるシステムにおいて発生する変動の効果を説明する
  • 全面的解決策を推進する
  • 専門性、知識、情報を総合化する
  • 時間的観点からの費用効果性を高める

 シミュレーションでは、活動およびデータのモデル化が適していないプロセスの観点に注目する。活動およびデータモデルは、静的であるので、資源の流れの影響は処理できない。この影響には、隘路、資源の活用不全、配分異常などがある。要するに、シミュレーションは、活動およびデータのモデル化の価値ならびに活動基準原価計算の価値を補足し向上するために役立つ技法である。

10.3.2.8 フォース・フィールド分析

 フォース・フィールド(力場)分析のコンセプトは、どのような問題あるいは状況もそれに加わる力の結果であるということである。関与するフォースには、拘束力および推進力の2つの一般的な形態がある。推進力は、静的な状態における変化を起こそうとする力であり、拘束力は、静的な状態を維持しようとする力である。変化または改善を意図する場合、拘束力および推進力が理解できていれば、プロセス改善チームは、推進力を増加し拘束力を抑制する方法を見出すことができる。
 フォース・フィールドでは、グラフィック技法を用いて、状況に影響を与える力をマッピングする。拘束力のすべては、現在の状況を表す水平線の片側に示され、推進力のすべてはその反対側に示される。以下に示す例では、改善チームが、プロセスの不良品率を引き下げようと努めている。この努力を拘束する力は状況線の下側に示されており、この努力を推進する力は上側に示されている。推進力の1つは顧客の苦情で、他の1つは経営者の至上命令でもあり得る。拘束力は、保守状態の劣悪な装置でもあり得る。

Figure 10-3
図表10-3.フォース・フィールド線図

 すべての力がマッピングされれば、対抗する2つの力がどのように配列されるかを観察することができ、次に、望ましい改善の方向へ向けて現在の状況を移動させるため、両方の力が互いに拮抗する方法を見出すことができる。フォース・フィールド分析は、拘束力の一種である、非常によく知られた「変化に対する抵抗」症候群を含む組織変更管理問題の調査のために、特に価値ある技法である。変化に対する抵抗に対抗できる推進力としては、従業員向けの報償制度が考えられる。報償が十分であれば、変化に対する抵抗は克服されるであろう。
 フォース・フィールド分析は、後述の因果関係分析と非常に良好に共働する。後者は、拘束、推進両方の力の根本原因を確認するために使うことができる。例えば、改善チームは、因果関係分析を用いて拘束力の根源である変化に対する抵抗を確認してもよい。原因が明確になった後は、因果関係分析を再度使用して、この拘束力を克服するためにどのような種類の報償制度(推進力)を採用すべきかを正確に決定することができる。

10.3.2.9 経済分析(EA)

 経済分析(EA)は、所与の問題に対する代替解決案を認識した後、最も費用効果の高い解決案を選択するために使用できる構造化技法である。EAでは、以下の簡単な 6ステップのプロセスを用いる。

  1. 解決すべき問題あるいは望ましい達成状況を、偏見のない客観的な言葉で表現する。
  2. 代替解決案を作成するための境界条件を形成する仮定および制約を明確にする。仮定は、経済分析が依拠する現在および将来の環境を記述するために使用する明示的な文章(ただし、事実そのものではない)。制約は、作成可能な代替案の数を制限する環境に無縁の要因である。
  3. 定義された問題についての代替解決案をすべて列挙する。代替案は購買対製造、リース対購買、交換対修理、手動対自動化、現状対変化などの形態をとる。
  4. 各代替案についての費用・便益を列挙する。便益は、必ずしも金額でなくともよいが、定量的(測定可能)な形で表現しなければならない。
  5. 代替案を、その費用・便益の正味現在価値によって比較する。通常、この手順を自動化するためソフトウエア・アルゴリズムが用いられる。
  6. 代替案を、リスクおよび感度について調整する。リスク分析は、現在の処置に基づく将来の結果の不確実性を考慮する。感度分析は、代替案選択の基礎となった仮定の不確実性の補償法の1つである。

10.3.2.10 プログラム意思決定プロセス・チャート(リスク分析)

 プログラム意思決定プロセス・チャート(PDPC)は、提案された処置手順についての臨時計画を立案する場合に使用される。すべての処置手順(改善処置を含む)には、失敗のリスクが伴う。もしリスクが伴わなければ、おそらくその処置はすでに実施されているであろう。
 この技法を使用する際の出発点は、改善プログラムまたは処置計画の要素を確認することである。親近性線図または関係線図をこの目的に使うことのできる場合が多い。処置計画における各要素は、ウォールチャートに書き込む。プロセス改善チームは、各処置について、指示されている処置手順を実施しようと試みる際に恐らく失敗するであろう事柄をすべてブレーンストーミングによって顕在化する。これらは、木構造の線図に表示するが、この線図は、垂直ではなく水平に描くのが普通である。
 潜在的問題の各々について、改善チームは、各障害を克服するために使える対策案を開発する。潜在的な障害物または問題の各々について対策が策定できれば、改善チームは、発生し得る各問題の確率およびその結果としての状況の重大性ならびに最も効果的な反応を評価する。その結果に基づき、いずれかの問題が発生するか否かを確認し、もし発生すれば、事前設計した処置計画を実施してそれを阻止するための現行の活動を観察する手段を用意する総合的臨時計画を策定することができる。この技法の価値の1つは、この線図が、改善活動の実施中に発生する不具合を明瞭に表示する備忘機能として役立つことである。

10.3.2.11 パート図およびガント図

 パート図(PERT, Program Evaluation and Review Technique chart) およびガント図(Gantt chart)は、プロジェクト日程データをタスクごとに作成し、追跡し、表示するために使用するプロジェクト管理システムの構成要素である。プロセス改善プロジェクトの各フェーズは、これらの技法の1つまたは両方を用いて計画すべきである。自動化プロジェクト管理ソフトウエアシステムを使えば、どのようなプロジェクト指向の活動においてもこれらの技法を簡単に組み込むことができる。これらを使用するための第一の必要条件は、日程計画の基盤として使える完全な作業分類構造(WBS)を採用することである。本書で解説する25ステップの方法論を構成するタスクは、 WBSについての十分に詳細な説明となるはずである。
 付録Bに注記した「プロジェクトマネジャーズ・ハンドブック」は、プロジェクト管理の原則および実施例についての完全な指針となる。それは、米国陸軍技師部隊 (the U.S. Army Corps of Engineers)の建設プロジェクトを支援するために作成されたものであるが、プロセス改善プロジェクトにも容易に適用することができる。

10.3.3 運用技法

 以下に解説する技法は、プロセス改善と同様にプロセス・マネジメント(第2章参照)を支援するために継続的に使用すべきものであるので、運用技法と呼ばれる。プロセス改善のプロジェクトおよび処置は、これらの運用技法を使用することによる日常の結果を元に保証されることが多い。プロセス問題が連続的に発生した場合、あるいは例外的な問題が予想以上に頻繁に反復発生した場合、それはプロセス再設計努力を必要とする徴候であり得る。

10.3.3.1 チェックシート

 チェックシートは、反復プロセス関連データをその一次発生源で収集する簡単な方法であり、支援しているプロセス・マネジメントおよび改善の努力を含む多くの用途のある活動に関連するデータを記録する簡単な構造化手段である。チェックシートには標準的な様式はない。各チェックシートは、その意図する目的のために特別に設計されている。チェックシートを作成するための指針は次の通りである。

  • チェックシートは、日常のタスクあるいは現行の職務に対する自然な追加業務として容易に使用できるものとすべきである。
  • チェックシートへの書込みは、ほんの1〜2秒で済むようにすべきである。
  • チェックシートへの書込みは、簡単に整理でき、作表でき、要約できるようにすべきである。
  • チェックシートを一瞥すれば、潜在的な問題あるいは実際の問題が簡単に発見できるようにすべきである。
  • 所在位置が重要な場合、例えばある製品について報告のあった欠陥数などについては、その製品のどの個所で問題の大部分が発生しているかの視覚的な証拠を示すモデルまたは図面のような形でチェックシートをレイアウトすべきである。
  • チェックシートには、曜日、時刻、収集点、記録担当者、その他チェックシートのデータから結論を出すために役立つような要因のコード番号を用意すべきである。

 チェックシートは、再発する事象からパターンを見出すために使用することができる。このようなパターンは、時刻、特定の機械、担当操作員、特別な種類の顧客、物理的な位置などに関連づけることができる可能性がある。チェックシートは、プロセス・マネジメントおよびプロセス改善の努力を誘導するために、主観的データではなく事実のデータを提供することが可能である。チェックシートは、パレート図や因果関係図のような他の技法にも使用できるデータを提供することもできる。

 以下に、顧客の苦情の種類を記録するために使用されているチェックシートの例を示す。

 

顧客苦情記録 94.3.11 に終わる週
販売員が無礼である XXXXXXXXXXXXXXXXXX 18
売価が明示されていない XXXXX 5
夕刻の時間帯が短すぎる XXXXXXXXX 9
サービスが遅すぎる XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 20
「肥満および長身用」の品揃えが少ない XXX 3
試着室が窮屈だ XXXX 4
値段が高すぎる XXXXXX 6
場所が悪い X 1
展示が拙い XXXXXXX 7
スタイルの種類が少ない XXXXXXXX 8
照明が暗い XXX 3
返品受付方針が混乱している XXXX 4
店員: P.スミス 合計 88

図表10-4.チェックシート

10.3.3.2 管理図 (run chart)

 管理図(ラン・チャート)は、プロセスで発生する事象を時間軸上に記録する線図である。上述のチェックシートとは異なり、管理図は、標準的なプロセスにおいて時間の経過とともに変動する量を決定するために使用する。また、ヒストグラムとも異なり、管理図は、制御不能事象の精密な発生時刻あるいは、ある期間にわたるプロセスの傾向を示すものである。
 管理図は、統計的プロセス管理(SPC)に密接に関連しているので、製造あるいはプロセス管理が主な用途である。最近に至り、SPC技法は、サービス関係のプロセスにも成功裡に試みられている。第一の必要条件は、データを収集するための妥当かつ信頼性の高い方法を確保することである。収集したデータは、プロセス変動の量と性質を確立するための科学的根拠となる統計学的評価に供される。変動値は、標準偏差(すなわち6-σの品質)、暴走事象の発生数、プロセス・パフォーマンスのパターンなどの形式で表される。これらのデータは、プロセスに再設計または改善が必要な時期を決定するために使用することができる。
 この技法を満足に使用するには、統計学的方法および実験計画の基礎知識が必須となる。その必要条件を満たすための教育を受けていない現業員にこの技法を使用させることは、一般に推奨されない。

10.3.3.3 因果関係分析

 原因および結果(C&E) の線図(その形態から魚の骨線図、あるいはその開発者の名から石川線図とも呼ばれる)は、プロセス・マネジメントおよびプロセス改善における多くの目的に有用である。 C&E 線図は、問題、解決策、あるいは状況に寄与する要因を確認するために使用する。所与の問題、あるいは問題に対する解決策を実施するために採用する必要のある基本要素の根本原因を見出すために使用する場合が最も多い。
  C&E 線図は本質的にグラフィックであって効果的に作成できるが、それを巧みに作成するには熟練と忍耐が必要である。また、C&E 線図は、単純化して複製すれば、プレゼンテーション用の資料としても活用できる。
  C&E 線図を使用するには、解決すべき問題(効果)を横線の右端に書き込む。この横線の両側に斜め方向の線を描き、その各々がその問題に関連する主要な側面を表すようにする。これらの斜線には、しばしば標準的な表題を用いるが、それには、人、機械、測定基準、材料、情報、および財務データなどがある。次に改善チームは、各カテゴリーにおける問題の潜在的な原因のすべてをブレーンストーミングによって割り出す。原因が突き止められれば、その原因について、いくつかのレベルにわたって伏在する遠因を見出すまで質問を続ける。この情報に基づき、プロセス改善チームは、その他の技法に進んで、その主問題の諸原因についての解決案を策定する。
 C&E 線図は、相当に錯綜しやすいので、書き直したり、小さい部分に小分けしなければならないことが多い(各部分の初めには効果の表題をつける)。視覚的には効果的ではないが、 C&E 線図は意図するアウトラインの形式で作成することもできる。また、完成した魚の骨線図をアウトライン形式に変換した後に、他の技法に進むのも便利である。

10.3.4 技法のマトリクス

 以下のマトリクスは、プロセス改善フェーズにおける技法を選択するための指針として利用できる。このマトリクスは、単なる指針に過ぎないので各種の技法を特定のフェーズいずれかに限定するものと解釈すべきではない。このマトリクスでは、下記の記号を使用する。

  • PL - 計画フェーズ(Planning Phase)
  • RE - プロセス・リエンジニアリング・フェーズ(Process Reengineering Phase)
  • CM - 組織変革マネジメント・フェーズ(Organizational Change Management Phase)
  • TI - 技術変革マネジメント・フェーズ(Technical Change Management Phase)
  • EE - 企業エンジニアリング・フェーズ(EntERPrise Engineering Phase)
  • PE - プロジェクト実行フェーズ(Project Execution Phase)

 

技法/フェーズ・マッピング PL RE CM TI EE PE
調査/面接 × × ×      
現地訪問/特務グループ × × ×      
アンケート/アセスメント ×   × ×    
フローチャート作成   ×     ×  
プロセス展開マップ/マトリクス × ×     × ×
創造思考/ブレーンストーミング × × × × ×  
チェックシート   ×       ×
ノミナル・グループ技法 ×   ×      
多重投票 ×   ×      
グループウェア・ツール × × ×      
パレート図   × ×      
因果関係図   × × × ×  
親近性線図 × ×     ×  
関係線図 × × ×     ×
木構造線図   ×   × ×  
方針管理計画 ×          
プロセス意思決定プログラム図   ×   × ×  
フォース・フィールドブレーンストーミング     × ×    
マトリクス線図   ×   × ×  
品質機能展開 × ×     ×  

図表10-5.技法のマトリクス


 

10.4 自動化ツール

 本章で解説した技法の多くは、自動化ツールで支援されている。その各々について、市販または政府提供の既製品が少なくとも1つは入手できる。CIM(情報管理センター)の機能プロセス改善専門技術センターでは、ソフトウエア・ツールのリストを保守更新しており、これらツールの多くを貸出ベースでデモンストレーション用に提供している。その詳細については、当センターに電話(1-703-892-4260)で照会のこと。

10.4.1 グループ・ツール

 ロータス・ノーツおよびヴァンタナV(Vantana V)が、グループウエアの要求条件を支援する製品として広く使用されている。

10.4.2 モデル化用ツール

 モデル化のワークショップ運営を支援するためのアイデフ統合定義言語支援設計(Leverage and Design IDEF)などのツールが容易に入手できる。このような製品は、IDEF (アイデフ統合定義言語)のワークショップで使用すれば、その生産性を高めることができる。また、プロセス・マッピングやフローチャートの活動を支援する市販プログラムもいくつか入手可能である。

10.4.3 シミュレーション用ツール

 サイクルタイムや資源使用などのシミュレーションを支援するソフトウエアプログラムも近く入手可能となる。これらツールのいくつかは、IDEF(アイデフ統合定義言語)モデルと連携して作業できるように設計されている。その他のツールは、その効果的な使用のため、事前にモデルを開発する必要がある。

10.4.4 プロジェクトマネジメント用ツール

 簡単に使えるものから、きわめて堅牢なソフトウエアまで、様々なプロジェクトマネジメント用ツールが市販されている。なかでも、Open Plan、Harvard Project Manager、 Primaveraなどが広く使用されている。

10.4.5 ベンチマーキング・ツール

 米国品質管理学会(The American Society for Quality Control)が、ベンチマーキング用製品を提供している。その連絡先の電話は、1-800-248-1946である。

10.4.6 品質機能展開用ツール

 ソフトウエア関係数社が、QFD(品質機能展開)の高度マトリクスを支援するツールを発表している。

10.4.7 管理シート用ツール

 現在、多数の統計ツールが入手可能である。その大部分は、因果関係分析、障害分析、ヒストグラムなど、この章で解説した品質技法のいくつかを支援するソフトウエアも含んでいる。

10.4.8 経済分析(EA)用ツール

  経済分析(EA)に使用するための製品が政府機関から入手可能である。支援センター(Support Center)は、これらのツールを貸出しベースで提供している。


 


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